長年、仕事の合間を縫って、足繁く通っている場所があります。それは、競馬場。偶然にも!?自宅のほど近くにあり、お酒と馬券を手に、絶叫しながら観戦。疲れとともに、お金も一気に吹き飛んでしまいますが、私にとって、息抜きができる最高のスポットです。
そもそも競馬にハマったのは、今から30年ほど前の小学生の頃。同居していた祖父とテレビの競馬中継を見たことがきっかけです。祖父に競馬を教わりながらある時、私は1頭の芦毛(白色)の馬に目を奪われます。その名はメジロマックイーン。最後の直線、他馬を一気に引き離し、ねじ伏せる姿に一瞬にして虜になりました。
競馬をギャンブルとして見る方、ほとんどだと思います。私もなけなしの金を叩いてきました。(生涯収支はマイナス〇〇万円・・・、はぁ?)でも、私が競馬を好きでいるのは、ギャンブル以外の部分に魅力を感じているから。それは、自分が応援していた馬の子どもが競走馬となり、またその子へと脈々と受け継がれていく「ブラッドスポーツ」という側面。勝とうが負けようが、思い入れのある馬の家系を追い続けられることに、ある種の喜びと温かさを感じるのです。
あっ、いかん、いかん。これでは、ただの競馬好きのおっさんの戯言で終わってしまう・・・。
少し軌道修正します。競馬好きが乗じて、私はある馬のドキュメンタリー番組に携わったことがあります。オルフェーヴル。繊細なハートを持ち、騎手を何度も振り落としてしまう、競走馬としては問題児。だけど、レースでは馬場が荒れようがどんな状態でも勝ちきり、3歳クラシック三冠を達成した魅力溢れる凄馬です。そして実はこの馬、私が最初に好きになったメジロマックイーンの孫なんです。「ああ、こんな縁もあるんだ」と。
またとない機会に、勇んで臨んだ取材は、肩に力が入りまくり。冷静さを欠き、走行禁止の場所で焦って走るなど厩舎関係者に怒られ、撮影を断られるという失敗もしました。それでもやっぱり好きだから、出会えた縁と運を頼りに、切々とその思いをぶつけ続けました。相手はそのしつこさに呆れた表情を見せつつも、取材は何とか継続、番組を放送することができたのです。ただ、このやり方が、万事うまく行くとは限りません・・・。
この仕事、取材対象者や対象物に触れてみたい、すなわち「好き」と感じるところから始まると思うんです。そしてどう伝えるか、相手はどう受け取ってくれるか。そのやりとりの積み重ねが結実する道は、いくつもあるということが面白さでもあります。
これからも「好き」だからこそ悶え苦しみ、そして蛇行しながら、この道を少しずつ歩んでいきたいと思います。
自宅近くの競馬場