ドキュメンタリージャパンに参加して、今年で16年目。
これまで数多くの人々と出会い、ドキュメンタリーをつくってきました。
日本最大の日雇い労働者の街、大阪・釜ヶ崎のドヤに住み込みながら、ナニワのおっちゃんたちへの取材、茨城の農家の米作りに一年近くにわたり密着、そしてある時は、若年性認知症のご家庭にカメラを入れさせて頂き、そのご夫婦の絆を見つめました。
長期間の撮影の中で、取材相手と共に時間を過ごして、世の中や自分自身を違う視点で見つめることができた時が、なによりも嬉しいです。
様々な人々との出会いがドキュメンタリーの醍醐味ですが、それだけではありません。ドキュメンタリーづくりには、プロデューサー、撮影、録音、AD、さらに撮影後は編集マンと、様々なスタッフが参加します。
「取材相手の人生のどんな場面に立ち会わせていただき、何を見つめるのか…。そこで発見したモノをどうやって伝えるのか…」
スタッフ同士でディスカッションを重ねながら、ドキュメンタリーをつくりあげていく過程に、年齢など、上下関係はありません。
取材相手だけではなく、スタッフとも深く関わりながら、ものづくりが出来るのが、この仕事の魅力です。
そんな私にとって、取材相手やスタッフとお互いの人生観をぶつけながらつくった、思い出深いドキュメンタリーが、まもなく公開されます。
初監督作品となる「ニッポンの嘘~報道写真家福島菊次郎90歳~」
(8月4日から全国で順次ロードショー)。
日本の戦後を見つめた伝説の報道写真家 福島菊次郎さんに密着したドキュメンタリーです。撮影には2年かかりました。家族と過ごすよりも福島さんといる時間の方が長かったような…。休みは少ないですが(笑)、それでも、スタッフたちと一緒に作り上げていく作業は楽しく、想像できないことが次々と起こります。そんな出会いを楽しみたい、ワクワクしたい、と思う若い人たちに、ぜひ、ドキュメンタリーを志して欲しいです!