5年間のAD生活を経て、やっとの思いでディレクターデビューして1年が過ぎようとしています。
この6年間の仕事を通して、百戦錬磨のドキュメンタリストである先輩たちからは『ディレクターの心得』として様々な名言が飛び出してきました。その言葉は脳裏にこびりつき、駆け出しディレクターである私の耳元にことあるごとに囁きかけてきます…
電車で音楽を聞こうものなら「イヤホンで耳を塞ぐな、街の音を聞け!」という声が聞こえてきます。番組に繋がるヒントをいつでもどんな時でも探せという教えです。しぶしぶイヤホンを外し人の会話を盗み聞きしたり、観察してみたり。今ここにいる人達が観たいものってなんだろう、この人達の胸をさらっていけるくらい面白い番組はどうやったら作れるのだろう…おちおち電車にも乗ってられない気分になってきます。
ロケ中にも声は聞こえてきます。「取材相手の前でパンツが脱げるか!」
人前でパンツを脱ぐのは容易なことではありませんが、抽象的に解釈すると撮影する相手に心をみせてもらうには自分自身もそれくらいさらけだす覚悟で挑めという教えなんだと思います。
他にも名言は続きます「ドキュメンタリー作りは恋と同じである」「スターになれ!」「芸者になれ!」…すべて鵜呑みにしていると混沌としてきますが、いつも最後に聞こえる言葉があります。
「ディレクターの仕事は線を引くこと」現実に起こるあまたの出来事の中から、自分の手で世界に線を引き、番組を生み出すのがディレクターという仕事だという意味だと思います。
魅力的な線を引き、画を描き、自分なりのやり方を模索しながらディレクター2年目の今年も前進あるのみです!